エミールおすすめのプロレス本及び参考文献

タイトル 作者 感想
流血の魔術 最強の演技 
〜全てのプロレスはショーである〜
ミスター高橋 言わずと知れた通称・ミスター高橋本。プロレスについて語ろうと思ったら、まずはこの本を読まなければ何も始まらないと言っても過言ではありません。プロレスの勝敗がどのように決定し、レスラー達がいかにそれを演じて行くのかというプロレス界の仕組みが良く分かります。なにしろ元新日本プロレスのレフェリーにしてマッチメーカーだった人物が、自らの体験を元に書いているのです。プロレスファンにもお馴染の有名な試合や事件の裏側が赤裸々に暴かれて行く様のリアリティーは、ハンパではありません。プロレスというエンターテイメントの本質を知るための必読書と言えるでしょう。
倒産!FMW  荒井昌一 筆者の荒井社長が借金取りに拉致されるところから始まるという衝撃ドキュメント。大仁田厚が5万円の資本金から立ち上げたという伝説のインディー団体が、坂道を転げ落ちて行く様に崩壊していく様は、団体運営というものの危なさ恐ろしさをこれでもかこれでもかと見せつけてくれます。末期状態となったプロレス団体がいかにして迷走していくのか、会社が倒産するということはどれだけの悲劇を生むのか、故・荒井社長の体験はプロレス関係者、あるいはこれから企業を立ち上げようとする人たち全員に読んでもらいたいところです。
また、FMWの倒産事情については、一時はFMWのマッチメーカーも務めた冬木弘道も「鎮魂歌:FMWはなぜ倒産したのか」という本を書いております。こちらの方も併せて読むと、より一層FMWの悲劇、企業経営の難しさが分かるでしょう。
地獄のアングル  永島勝司 組織の力を自分の力にと勘違いしている大企業のビジネスマンが、組織という後ろ盾を無くしたらどうなるのか? かつて新日本プロレスのトップに君臨した永島勝司氏と長州力が設立したWJプロレスの独立崩壊ドタバタ劇には、笑うことしかできません。よくもこんなに恥ずかしい話をぶっちゃけたモンだと感心させられてしまいます。
杜撰な計画と自己過大評価によるカン違いによる永島長州コンビの失敗談には快挙にいとまがありません。本書では史上最高のネタ団体・WJプロレスのアホっぷりを思う存分に楽しむことが出来ます。
「金権編集長」ザンゲ録  ターザン山本 完全な老害と化して久しいターザン山本ですが、この最後の最後に書いた暴露本は面白かったです。身もフタもなく、結局全ては金になること雑誌が売れることが全てであったとの告白は正直で良かったですね。全盛期のターザン山本はジャイアント馬場との繋がりが深かったので、馬場さん&全日関連の裏話が興味深かったです。元子さんに100万円無心して持って来させたとか、SWSを攻撃したのは馬場さんから裏金を貰ったからとか、何気に全日もダーティーだったようです。
パワーオブドリーム 前田日明 第二次UWF全盛期頃に書かれた前田日明の自伝です。前田の学生時代における下町アウトローな生活や、新日本プロレスの道場時代などの思い出話は読みごたえがあります。古き良き時代のゴツゴツしたプロレスラーと、昨今のスタイリッシュなプロレスラーの違いとはこういうところから出てるんだなということが分かるでしょう。
暴露本的な要素は殆どありませんが、UWF設立の経緯についてはプロレス史入門編としては読んでおく価値があります。
ケーフェイ 佐山聡 発売当初(1985年)には衝撃の暴露本と言われていたらしい。筆者は本書を1990年頃に読み、言われるほど大したこと書いてねーじゃんとガッカリしたものだった。が、プロレスの仕組みを知った今になって本書を改めて読み直してみたら、よくぞココまでヤバいことを書いたものだなあとビックリした。
本書には、佐山のシューティングは万全たるスポーツであり格闘技であるのだが、プロレスはショーでありインチキであると、これでもかこれでもかと書いてある。だが、ミスター高橋本のように、プロレスとは戦う前から勝敗が決まっているとは書いていないのが決定的な差なのであろう。物事の本質とは、99までバラしたところで、肝心かなめの最後の1さえ隠し切れば守り通せるものなんだなということが、今改めて本書を読んでみての感想だ。
U.W.F.戦史 塩澤幸登 全3巻のシリーズで、筆者は3巻しか読んでいないのだが、これを読めばUWF解散の真相が完全に分かると言っても過言ではない。過去の文献と、前田日明を中心とした当事者へのインタビューは、よくぞココまで調べた聞いたと感心させられる。UWF解散の真相を解明するには、時間という名の魔術師が必要だったということが、本書を読めばハッキリ分かる。
木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか 増田俊也 まずは純粋に読み物として物凄く面白い。「木村の前に木村無し、木村の後に木村無し」と謳われた日本柔道史上最強の英雄の波乱万丈の生涯は、ヘタなアニメやライトノベルなんかよりよっぽど引き込まれるストーリーで目が離せなかった。
本書は木村政彦の生涯を通じて、日本格闘技界の黎明期から柔道界の統一、プロレスの誕生までの歴史を書いているのだが、これまた凄く勉強になった。筆者は今までに、日本における総合格闘技の源流は結局新日本プロレスに行きつくようなことを書いていたが、それは大きな間違いで、まずは木村政彦と高専柔道のことを知らなければ総合格闘技のことは語れないということがよく分かった。
でもそんな最強最高の英雄・木村政彦と日本柔道の物語が、力道山とのあの一戦のために全てが闇に葬られてしまったことが何とも悲しいし勿体ないことだと改めて思う。本書がこの世に出なければ、木村政彦という不出生の英雄のことが、世間一般の間でトンでもなく誤解されたまま終わったのかと思うと、18年もの期間をかけて本書を書いた増田俊也氏の功績はなんとも偉大なことだと思う。
1964年のジャイアント馬場 柳澤健 猪木と新日のことを書いた本は数あれど、馬場のことを書いた本はあまり無い。本書はそんな珍しい馬場本なのだが、ジャイアント馬場に関する知識を得ようと思ったら、これ一冊読めば問題無いと言っても過言ではない。また、日プロ分裂の内情や、テリトリー制全盛期のNWAが実際はどのような組織だったのかもよくわかり、アメプロ史を知るにももってこいな一冊だ。
猪木の馬場に対する嫉妬心はよく知られたところだが、実のところ馬場の猪木に対するライバル心もそれに負けず劣らずなものだったというのが本書を読んで意外に思ったことである。また、猪木のみならず、輪島や天龍と言った自分より若い世代のレスラーへの嫉妬心から姑息な嫌がらせをしたジャイアント馬場というレスラーのスケールの小ささを、逆に魅力的に描いていた本書はとても面白かった。
そのほかにも、NWAのベルトを2万5千ドルで1週間買った話や、外人天国だった時代の全日本プロレス放映権料は6億円!もあったのに、その殆どが外人のギャラに消えていた話など、お金にまつわる裏話も興味深かった。
猪木は馬場をなぜ潰せなかったのか 西花池湖南 分かるようで分からない馬場と猪木ののライバル関係・・・本当のところは信頼しあっていたという話もあれば、お互い殺したいほどに憎み合っていたという話もあるしで実際のところはどうだったのか? 実は馬場にしても猪木にしても、真の敵は馬場猪木ではなく団体の中にいたというのが本書で明かされた真実である。なるほど確かにそう考えれば、馬場と猪木の行動やその不思議なライバル関係の全てに説明がついてしまうのだなと納得させられた。
1984年のUWF 柳澤健 第一次UWFの誕生から崩壊までの経緯がよく分かる本。だがこの作者は佐山贔屓の前田嫌いが顕著なので、前田に関するネガティブ記述はある程度割り引いて読む必要があるが、それでも今までこれほど第一次UWFの実態が書かれていた本は出版されていない思う。
伝説の大宮スケートセンターの会場の様相や、最終戦蔵前での前田藤原きめっこマッチに関する事実は今までに語られていた話とはずいぶん違うようだ。
また、第二次UWFの経営状況と神社長の人物像なども今までにあまり触れられていなかった部分だと思う。もっとも最初の書いたとおり、この作者は前田のことがかなり嫌いらしいので、ある程度割り引いて読む必要はあると思うが。
沢村忠に真空を飛ばせた男 
昭和のプロモーター・野口修評伝 
細田昌志 キックボクシングという格闘技は実は日本発祥のものだった。天才プロモーター野口修がこの"異種格闘技"と沢村忠というスーパースターを生み出し、地上波ゴールデンタイムでのレギュラー放送で視聴率20%を叩き出すに至った経緯を書き綴った日本の格闘技史を語るのに必読の一冊。
「木村正彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」を読んだとき同様、筆者は改めて、自分はプロ格闘技の歴史のことを何も分かっていなかったんだなということを痛感させられた。
本書で取り上げられているキックボクシングの原点とも言えるムエタイVS空手の異種格闘技戦について、K−1創始者の石井和義氏は
「あれがなければ今の日本格闘技界はなかった」
と語っているが、それは決して大げさな表現ではないと思う。
なお本書と併せて、キックボクシングと沢村忠について全くの別視点で書かかれた「真空飛び膝蹴りの真実"キックの鬼"沢村忠伝説/加部究」を読んでみるのもおもしろい。
◆その他の参考文献など

内側から見たノアの崩壊/泉田純

闘魂の呪縛 王道の絶望/井上譲二
「つくりごと」の世界に生きて/井上譲二
プロレス「暗黒」の10年/井上譲二

猪木を信じよ/井上義啓
殺し/井上義啓
底なし沼/井上義啓

「ゼロ年代」狂想のプロレス暗黒期/上井文彦

大仁田厚のこれが邪道プロレスじゃ!

パンクラス15年の真実/尾崎充実

プロレス、K1,PRIDEタブーの読み方/亀井誠
プロレス、K1,PRIDEタブーの読み方2/禁断の構図 亀井誠
プロレス、K1,PRIDE禁断のスキャンダル史/格闘探偵団+亀井誠
プロレスの悲劇/亀井誠

子殺し/金沢克彦
元・新日本プロレス/金沢克彦

ブッカーKが見た激動の時代/川崎浩市

A級戦犯/草間政一
知りすぎた私/草間政一

プロレスを創った男たち/栗山満男

東洋の神秘 ザ・グレートカブキ自伝

アントニオ猪木の伏魔殿/新間寿

魂のラリアット/スタン・ハンセン

ある悪役レスラーの懺悔録/関川哲夫(ミスターポーゴ)

暴露/ターザン山本

平謝り K−1凋落、本当の理由/谷川貞治

プロレス戦国史仁義なき戦い/地伏文とVIOLETS


七勝八敗で生きよ/天龍源一郎

NOAHを創った男 仲田龍 本多誠

凶獣/永島勝司

鎮魂歌 FMWはなぜ倒産したのか/冬木弘道

野獣の怒り/ボブサップ

ミスターデンジャープロレス危険地帯/松永光弘

マッチメーカー/ミスター高橋
流血の魔術第二章/ミスター高橋

私プロレスの味方です/村松友規

プロレス下流地帯/別冊宝島編集部
プロレススキャンダル事件史/別冊宝島編集部
「別冊宝島」が報じたプロレス団体暗黒史/別冊宝島編集部
新日本プロレス伝説完全解明/別冊宝島編集部

1976年のアントニオ猪木/柳澤健
1993年の女子プロレス/柳澤健

女子プロレス崩壊/ロッシー小川

週刊ファイト

別冊宝島



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